講座の内容・ねらい

系譜的に言えば、そして日本的な表現を使えば、僕はカウンセリング心理学のパイオニア、カール・ロジャーズ先生の「孫弟子」にあたる。日本でロジャーズと言えば「受容と共感」をベースにした「傾聴」だが、こういった「日本的解釈」には違和を感じてならない。ロジャーズ先生と僕の恩師、ユージン・ジェンドリン先生が共に築き上げたリスニング～僕はそれを追求したい。ロジャーズは「感情の反射」といった表現にはアレルギーを感じるようになり、「僕は感情の反射をしようとしているのではない」と明言していた。もとより、ロジャーズは「技法」や「テクニック」は好きではなかった。そして彼は彼自身のリスニングについての「二重の洞察」に至った。カウンセラーの視点からみると、カウンセラーの応答は「理解の試み」であり、クライエントの視点からみると、カウンセラー応答はクライエントのフォーカシングを促進していた。当日はこの「二重の洞察」を巡って、体験的なワークを含めて探究していきたい。