こころのレシピ
東京支部では、この時期に寄せられているご相談について、ストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第3回は、シニア産業カウンセラーであり、アンガーマネジメントにも詳しい宮本剛志さんの登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
【ご相談:Mさん・中間管理職・40代後半】 私の勤める会社は、町場にある従業員20名ほどの機械部品販売の中小企業です。創業者である社長の意見は絶対です。社長はやり手で尊敬もしていましたが、「テレワークは従業員の管理ができない」との社長の考えから、全員通常通りの出社となっています。しかもこの時期にも関わらず、換気の悪い会議室での複数名の打ち合わせが行われています。3月から受注も激減しており、正直今後どうなるか不安に思います。ここ数週間、自分が以前よりもちょっとしたことでカッとしたり、イライラしたりしやすくなっている気もします。いつか社長に思わず怒鳴ってしまいそうな自分がいて、怖いです。 |
(宮本)大変な状況でのお仕事お疲れ様です。思わず怒鳴ってしまいそうで怖いというMさんのお気持ちは当然だと思います。Mさんには、怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントをご紹介しますね。
そもそも、怒りとは何かというと、「防衛感情」です。自分の身や心を守るために大事な感情なのです。Mさんは自分の健康や生活が脅かされていると感じているからこそ怒りを感じているのではないでしょうか。ですから、怒りを感じることは自然なことです。
では、どうすればいいのか。
まずはイライラした時に衝動的に怒らないことが大事です。衝動的に何かを言ったり、したりすれば、後悔しやすいからです。理性が介入するには6秒かかると言われています(諸説あり)。そのため、6秒やり過ごしましょう。
その方法の一つに、「自分に落ち着く言葉をかける」という方法があります。例えば、「大丈夫、大丈夫」「落ち着こう、落ち着こう」などです。大事な人やペットの名前でも構いません。
理性が働きだしたら、上手に相手にリクエストを伝えましょう。感情をぶつける、攻撃するのではなく、相手に本当はどうしてほしいのかリクエストを伝えてみてください。
例えば、「社長、恐れ入りますが換気の良い場所に変更していただけますか」と。時には「新型コロナウィルス感染拡大で心配なので」と自分の気持ちも加えてみてください。
アンガーマネジメントは心理トレーニングです。練習すれば少しずつ上手になりますので、ぜひ試してみてください!
(引用元:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメント入門講座2019年度版」「アンガーマネジメント叱り方入門講座」)
宮本 剛志(みやもと・つよし) 一般社団法人日本産業カウンセラー協会シニア産業カウンセラー、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントトレーニングプロフェッショナル、㈱メンタル・リンク代表取締役。当協会にて産業カウンセラー養成講座協会認定実技指導者・相談室カウンセラー・登録講師、企業・官公庁にて、研修講師・コンサルタント・カウンセラーとして活動している。 |