講座の内容・ねらい

この講座では依存についての基礎を学び、どのように支援に繋げていくか、どのような支援が効果的であるかを一緒に学んでいきます。依存症と言えば、かつてはアルコールや薬物などの依存性物質が主たる対象でしたが、最近の依存症問題では依存性物質だけに留まらず、ギャンブル・ゲーム・SNS・買い物・恋愛・窃盗などの非物質性の行動嗜癖に拡大しています。昨年度の講義ではこのような「わかっちゃいるけどやめられない」行動嗜癖を概観しました。今年度は、浪費などの金銭問題に関する行動嗜癖を取り上げます。金銭問題は債務を経て、容易に破綻を招きやすいからです。同時に「少しでも金銭を増やして○○の足しにするため」や」「○○を応援するため」など、当該行動の理由付け（正当化）を起こしやすく、そのため改善に向けた自覚が得られ難くどんどん深みにはまります。このような理由付けが、その人本来の動機を曖昧にし、自己決定をゆがめています。実際のケースを踏まえながら、どのように自己決定を促していくのか、依存症の自覚を持ってもらうのか、具体的な介入法を学びましょう。依存症への理解がさらに深まる内容です。是非、ご期待下さい。

【略歴】
　　1988年岡山大学医学部卒業．慈圭病院、岡山県精神科医療センター、久里浜医療センターを経て、2017年より、よしの病院勤務．　　　　　
【主な資格】
　　精神保健指定医　精神科専門医/指導医　内観療法専門医/指導医　認知症臨床専門医　産業医

【書籍】
「ギャンブル障害診療マニュアル」　中外医学社　2025年.
「内観法・内観療法の実践と研究 」 (分担：嗜癖問題に対する内観療法の使い方)　朱鷺書房　 2023年．
「今日の治療指針 2021 Vol.63 」(分担:ギャンブル障害)　医学書院 2021年．
「現代社会の新しい依存症がわかる本 」(分担：第5章 ギャンブル依存)日本医事新報社　 2018年．
「A Desire-Targeted Intervention based on Naikan Counseling for Disordered Gamblers (DING) (In: Gambling: Risk Factors, Prevalence and Treatment Outcomes. edited by Yvonne Carter) Nova Science Publishers. New York. 2016. (ISBN: 978-1-63485-787-1)
「大学生のためのメンタルヘルス」 (分担執筆:「ギャンブルで勝ってこづかいを稼ぎたいんだけど」)　大月書店 2016年．
「ギャンブル依存症からの脱出 」SB新書 2015年．